ドイツ、オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、ベルギー、ルクセンブルク
ヨーロッパ中央部、ちょうどかつての『ドイツ人の神聖ローマ帝国』の版図にあたる地域や、その周辺で話されている。標準ドイツ語は古高地ドイツ語から派生した言語であり、古低地ドイツ語から派生したオランダ語やルクセンブルク語などとは異なった姿をしている。各国・各地方による方言差がある。
英語の閉鎖音にあたる音が破擦音・摩擦音化しているので、『乾いた』感じに聞こえる。母音に関しては、短母音が9つ、長母音が8つ、二重母音もいくつかある。短母音と長母音の間には対立があり、さらに a ⇔ ä のような母音交差による対立もあり、文法上重要な役目を果たす。
英語と同じく、子音が並ぶことが多い。閉鎖音、摩擦音系列では語末子音が必ず無声化する。
つづり字と発音の間には規則があり、覚えればほとんどの単語は読めるものの、合成語はハイフン等を入れずにそのまま続けて書くため、慣れないと未知の単語や長い単語の場合、どこで切れるのか分からないことがある。また、er (「エル」「エア」「アー」)や v (「フ」、ラテン語起源などでは「ヴ」)のように同じつづりで読み方が複数あるものもけっこうあるので、こういうのはいちいち覚えるより仕方がない。国や地方によって読み方や発音が違う場合もある。
全体的に子音の連続が多いので、日本人には難しいといえる。破擦音"pf"も難しい発音。
| 格表示 | 語順と冠詞、指示詞、形容詞類による屈折(一部の格表示は名詞による屈折もあり) |
| 語順 | 『定形第2位の法則』から動詞定形(人称語尾をもつ形)は必ず文の二番目の要素に置く。ただし、疑問文では倒置する。また、副文中では動詞が文末に置かれるなど文の種類によって動詞の位置が決まっている。 |
| 冠詞 | 不定冠詞、定冠詞、部分冠詞があり、性・数にあわせ変化する |
| 限定詞 | ほとんどが前置される。 |
| 名詞 | 男性、女性、中性の三性。単数 - 複数を語尾と母音交差で区別する他、一部は格語尾も持つ。 |
| 動詞活用 | 話法に直説法、命令法、接続法1式、接続法2式を持つ。人称・数にあわせそれぞれ6つの形を持つ。 他動詞⇔自動詞の区分が曖昧なので、再帰代名詞を伴う「再帰動詞」がある。英語の句動詞にあたる、前綴りが分離する『分離動詞』が特徴的。 |
| おさえておきたいところ | |
| 何と言っても定冠詞の性・数・格変化をまず覚えられるか。これを覚えてしまえば、あとは代名詞も形容詞も応用するだけ。それと、英語と親戚のわりにだいぶ違う語順。古い英語の知識があれば何となくわかるが読んだり聞いたりするときは慣れるまでは戸惑う。また、名詞の文法性の区別に特に明確な決まりがあるわけではないので、いちいち覚えるのがめんどう。 | |
他の西欧言語と同じく、フランス語・ラテン語・ギリシャ語からの借入が多いが、英語と違うのは割合が少ないところ。2〜3割程度しかないと思われる。新語は接頭辞、接尾辞、母音交差などを用いてドイツ語自身から創り出すというのが基本姿勢なので、似たような合成語が非常に多く単語も長くなりがち(例:Vergangenheit 「過去」、 Gleichgültichkeit 「無関心」、Unaufmerksamkeit 「不注意」)。特に、ver-、auf- などで始まる語は非常に多く、それぞれの意味を正確に覚えるのはちょっと大変。
医療用語に多いという話は有名なので、それ以外の借入語を挙げると、アルバイト、ゲレンデ、ダックスフントなど。
公用語クラスではオランダ語、アフリカーンス語など低地ドイツ語系言語に応用できる。北欧ゲルマン語も単語は似ているので、語彙の知識がいくらか使える。
英語
ポルトガル語
スペイン語
フランス語
ロシア語
アラビア語
ヒンディー語/ウルドゥー語
ベンガル語
マレー語/インドネシア語
中国語(普通話)
日本語