マレーシア、インドネシア、シンガポール、ブルネイ
東南アジア南部で広く話される。インドネシア語は、インドネシア共和国の公用語としてマレー語(ムラユ語)を元に各地方の言葉を取り入れて作られた言語。話し言葉との差は大きいものの、標準インドネシア語は国家領域内では比較的広く通用する。マレーシア語も同様に作られた言語なので両言語の語彙の大半は共通しており、言語学的に『方言』の関係にあるといえる。現代マレー語はローマ字で表記される。話し手人口は2億数千万人ほどとされる。
鼻音以外の子音が並ぶことが比較的少ない。公用語と話し言葉には最終音節母音の発音が違う例がいくつかある。語末閉鎖音(p、t、k)が内破音(息を止めながら発音する感じ)になる。
ほぼ一字一音が成り立っているものの、文字には通常ローマ字を用いるので原則から外れるところもある。例えば"e"の文字には二通りの発音がある。二字を一字と見なす文字(合字)も4種類(ny、ng、kh、sy)ある。
ほとんどいわゆる『ローマ字読み』で用が足りる。子音が並んだりすることも少なく、母音も6つなので日本人でも発音しやすい。ただし語末の閉鎖音(p、t、k)が内破音なのが少し難しい。ng の発音も、日本語にある音(例:「かがみ」の「が」)ではあるが、語頭に現れたときは少し厄介。語尾で ng、m、n の3音を聞き分けるのも難しい。また標準マレーシア語ではアラビア語やサンスクリット由来の kh を文字通りに発音することになっているがこれも面倒。
| 格表示 | 語順 |
| 語順 | @主語 − A述語 − B目的語 |
| 冠詞 | なし |
| 限定詞 | 後置される。 |
| 名詞 | 活用なし。 |
| 動詞活用 | 活用なし。その代わり、時相詞、様態詞、副詞などと組み合わせて活用を補う。他動詞⇔自動詞の区別は主に接頭辞で行う。 |
| おさえておきたいところ | |
| 名詞や動詞の活用がないものの、副詞や接頭/接尾辞で文にさまざまな情報やニュアンスを表示するので、覚えることはたくさんある。また、基礎語彙から派生させて創り出された単語がたくさんあり、しかも形と意味が複雑。ただ、活用がない分、覚えた単語を組み合わせてすぐに文を作れるという点で学習はしやすいと思う。おかげで辞書も引きやすい。 | |
接頭辞/接尾辞を用いて基本語から多くの語を創り出すが、文化的・歴史的な背景からサンスクリット、パーリ語、アラビア語、オランダ語などさまざまな言語の語彙が含まれている。
日本語の中のマレー語というと、オランウータン、雑誌名「じゃらん」などが有名。英語経由ではゴングなど。戦前の覚え方で「人はおらん(=orang)、魚はいかん(=ikan)、飯はなし(=nasi)」というやつもそこそこ知られている。
同じオーストロネシア語族に属するピリピノ語やタガログ語へ少しだけ応用できるはず。以前会話集を見たら意外にも単語が似ているものがあった。ただ、フィリピンの言語は英語やスペイン語からかなり影響を受けており、まるごと知識を活用するのは難しいと思われる。
単語レベルでいえば、マレーシアやインドネシアは複雑な歴史をたどった地域なので、少しだけ他の12大言語に応用できるものはあるにはある。ヒンドゥー教/仏教時代のサンスクリット系単語はヒンディー語/ウルドゥー語へ、イスラム教系の単語はアラビア語へ、オランダ統治時代に入った単語はドイツ語へそれぞれ応用が可能である。それでもこういった単語の絶対数は少なめ。
英語
ポルトガル語
スペイン語
フランス語
ロシア語
アラビア語
ヒンディー語/ウルドゥー語
ベンガル語
中国語(普通話)
日本語