シナ語族/ 漢字表記
中国、台湾、香港、シンガポール
定義がややこしい言語。一応国家(すなわち党)によって『中国語』『北京語』『北京官話』『普通話』の区別に基準が定められているらしいが、区別を意識せずに使われていることも多い。『中国語』という名称はもともと中台の両政府が使用し始めた名で、言語学の本だと『北京語』とか『北京官話』とか書かれていることが多い。『普通話』とは中華人民共和国の標準語であり通常『中国語』といえばこの『普通話』を指す。英語では (Chinese) Mandarin と書かれることが多いが、これは厳密には『普通話』の基礎になっている『北京官話』という清代に成立した言語を指すようだ。
中国と台湾では高級語彙に多くの違いがみられるものの、両者間での日常会話は可能である。数え方にもよるが、8億人〜9億人と世界最大の話し手人口を持つと考えられている。中国南部では母語として使う人は少ない。
東洋言語によく見られる特徴である、要素としての「声調」をもつ。母音は多くの場合長く発音される。帯気音と非帯気音の対立があるが、有声音(濁音)と無声音(清音)の対立はない(実際には濁音・清音に近い音もある)。
漢字を用いる。中国での漢字は政府が定めた『簡体字』と呼ばれる字体を用いるので日本語の漢字とは違う。台湾では『繁体字』(日本のいわゆる旧字体とだいたい同じ)という字体が使われる。ちなみに香港の普通話もこの繁体字で表記されるのが普通。とうぜん表音文字ではないので、一字一字読み方を覚える必要がある。日本語の漢字の読み方と結びつけて覚えることが可能なのでピンイン(ローマ字)+声調符号と実際の発音を確実に対応させていくことが重要。簡体字は日本の漢字より簡略化されているので書きやすい。
語を声調どおりに正確に発音するのがまず難しい。日本標準語にも声調による区別は一部の語にあるが、中国語の場合にはほとんどすべての語にわたっているので最重要課題と言っても良い。母音も「あいうえお」から応用しにくいものがある。それに帯気音⇔非帯気音の区別。チャ行、シャ行に聞こえる音が2系統ある。捲舌音もけっこう難しい。
| 格表示 | 語順 |
| 語順 | 一般的な文:主語 − 述語 − 目的語 存現文では述語(動詞) − 主語 − (副詞・場所など)) |
| 冠詞 | なし |
| 限定詞 | 前置される。 |
| 名詞 | 活用なし。単数-複数の区別は接辞で表す |
| 動詞活用 | なし |
| おさえておきたいところ | |
| 文法の出発点である『品詞』の概念が日本語や英語などとかなり異なる。教科書的な文では本当に「漢字を規則どおり並べているだけ」という印象だが、実際の用いられ方はもっと複雑であり文法は習うよりも慣れろといった感じ。 | |
外国語をそのまま発音どおりに受け入れるのではなく、自前の言葉で『意訳』して取り入れる方針を採っている。これは漢字という文字表記面での制約によるものだが、原語の発音をなるべく残すように意訳するなど工夫されているものもある。日本語を取り入れるときは漢字表記をそのまま自国語読みして取り入れているようだ。
漢字と漢文を通して結びつきは深いように思われるが、漢文は春秋・戦国時代にできあがった数千年の歴史を持つ由緒正しき書き言葉。洗練された漢文文体の成立からは約2500年以上の時が流れており、現代中国の人々でも教養がないと読めないらしい。少なくとも文法面では現代中国語の習得に漢文の知識を利用するのはほとんどできない。
一方で語彙面では、漢字の用いられ方が日本とかなり異なっているものの、古代漢語から入ったもので現代中国語にも応用できるものは少なからずある。中国語の発音のままで入ったものとしては麻雀用語と料理の名前が特に有名。他には“イチョウ”“インコ”など探せば意外とある。
北方系のシナ語は北京語と似ているため知識を応用できるが、中央政府の力で方言化してきているらしい。北京語とはもともと異なる言語だが「広東語(粤語)」「湘語」「客家語」「福建語」「台湾語」など南方系のシナ語は、語彙の中には(発音は別として)応用できるものがあるはず。
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