ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギス
かつての超大国・ソビエト連邦の公用語であったが、現在のところ、ロシア以外の旧ソ連の国々では正式な公用語としては採用されてるケースは少ない。しかしながら、こういった国々にもロシア系の人はたくさんいるので通用する範囲は広い。話し手人口は1億数千万人ほどで、国連の公用言語にも採用されている。
最大の特徴は『軟音化』と呼ばれる音の口蓋化(簡単にいうと音が「イ」っぽくなること)。キリル文字には軟音を表す専用の記号(ь(ミャフキーイ・ズナーク))もある。母音は「あいうえお」からでも対応は可能で、アクセントのある音節が長音になるのも特徴。閉鎖音・摩擦音系列の語末子音が必ず無声化する。有声子音と無声子音が並ぶ場合は後ろの音にあわせて有声/無声化が決まる(逆行同化)。
キリル文字を覚えても、アクセントの位置によって母音の読み方が変わるので、アクセントがかなり重要。また、古いつづりをいくらか残しているので、発音と綴り字が一致しない例も少なからずある。г(ゲー、ローマ字の g に相当)を「ヴ」または「フ」と発音する例もかなりあるなど。特に数字には注意が必要。それでも基本的な規則とアクセントを覚えればたいていの単語は読むことができる。
子音が連続しやすいので日本人には発音しづらい場合が多い。さらにそこに軟音化が加わることもあるため、さらに難しい。結局最大の難関は軟音記号 ь と言える。
| 格表示 | 屈折 |
| 語順 | 主語 − 述語(=動詞) − 目的語。あるいは、主語 − 補語 この順が一応基本のようだが、屈折語なので入れ替えても文意は変わらない。 |
| 冠詞 | なし |
| 限定詞 | 前置される。名詞の性・数・格に合わせて変化する |
| 名詞 | 男性、女性、中性の三性。主格、生格、与格、対格、造格、前置格という6通りの格変化がある。 |
| 動詞活用 | 1語で表されるのは直説法と命令法のみ。過去形は分詞から派生しているので人称を持たない。仮定法は助動詞と組み合わせて表現され、接続法のような独自の活用はない。 最大の特徴としては動詞が『不完了体』と『完了体』に分類されることで、同じ動作を表す場合でも別の動詞を使うことに注意が必要。他動詞⇔自動詞の区別には代名詞を伴って活用する『再帰動詞』があるが、曖昧な場合も多い。 |
| おさえておきたいところ | |
| 名詞の活用をまずはじめに覚えたい。よく使われる動詞の直説法現在形も少し面倒だが慣れれば難しくはない。ただし不完了体と完了体はペアでおさえておく必要がある。 | |
フランス語、ドイツ語、ラテン語、ギリシャ語からけっこう借り入れている。帝政ロシアの国づくりはフランスやドイツなどの西欧諸国を手本としていたらしく、フランス語やドイツ語の知識があると習得に役立つことが多い。かつてたくさんあったトルコ語やモンゴル語の語彙はロシア革命以降に『タタールのくびき』とか言われ一掃されてしまったが、日常語彙には деньги のようにまだ残っている。
互いに入った語彙は少ないと思われる。“ノルマ”“イクラ”“ボルシチ”など。他には世界史の教科書にしか出てこない共産主義がらみの単語ぐらい。
ウクライナ語やベラルーシ語とよく似ているのでもちろん習得に使える。他にはスラヴ系の言語全般、特に東部・西部スラヴ語系言語に応用が利く。単に縁戚関係にあるというだけでなく、旧共産圏の国々では政治だけでなく生活一般言語に至るまでロシア語の影響を被っているので、つまらないところにまで応用できるはず。
英語
ポルトガル語
スペイン語
フランス語
ドイツ語
アラビア語
ヒンディー語/ウルドゥー語
ベンガル語
マレー語/インドネシア語
中国語(普通話)
日本語